2013年01月06日

だれかのことば まとめ21〜27

その21

「仮病は、この世でいちばん重い病気だよ」
 ブラックジャック

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その22

「言葉は空に迷い、思いは地に沈む。心をともなわぬ言葉が、どうして天にとどこうぞ」
 クローディアス

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その23

「だめだこりゃ」
 いかりや長介

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その24
「これでいいのだ」
 バカボンのパパ

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その25

「死んでも怪我するな」
 会社の先輩

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その26

「すべての物質は毒である。物質にして毒でないものは何もない。毒と薬とを分かつのは量の適切な区別だけである」
 パラケルスス

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その27

「にんとすはっかっか、ま! ひじりきほっきょっきょ」
 小松政夫

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だれかのことば まとめ11〜20

その11

「気にしない気にしない ひと休みひと休み」
 一休さん

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その12

「いい事なんて無いよ」
 立川談志

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その13

「今証明されることはかつてはただ想像されたことであった」
 ブレイク

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その14

「お化けは死なない」
 水木しげる

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その15

「精神がつきあたるもろもろの矛盾、それらのみが実在するものであり、実在性の基準である。想像上のものには矛盾はない。矛盾とは必然性の如何を示すものである」
 シモーヌ・ヴェイユ


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その16

「きみたちがいて、ぼくがいる」
 チャーリー浜

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その17

「卑怯者ってのはね、きみが何をしたか、ってことで決まるんじゃなくて、きみが何を後悔してるかってことで決まるんだよ」
 寺山修司


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その18

「なにをおっしゃるウサギさん」
 カメさん


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その19

「動物は考えないから、話さないのではない、たんに話さないのだ」
 ウィトゲンシュタイン

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その20

「真空管をいくら改良しても、トランジスターは生まれない」
 江崎玲於奈

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だれかのことば まとめ1〜10

その1

「人生はnonsenseだと感じた時こそ、人生がnonsenseでなくなった時である」
 山頭火

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その2

「この宇宙でもっとも理解不可能なこと、それはこの宇宙が理解可能なことである」
 アインシュタイン

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その3

「天空は沈黙している。ただ沈黙する者に対してだけは、こだまを返す」
 カフカ

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その4

「おのれに存する偉大なるものの小を感ずることのできない人は、他人に存する小なるものの偉大を見のがしがちである」
 岡倉覚三

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その5

「えー、大きなことを言うようですが、今や春風亭柳昇といえば我が国では、私ひとりでありまして…」
 春風亭柳昇

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その6

「吾いまだ徳を好むこと、色を好むが如くする者を見ざる也」
 孔子

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その7

「誤りを避けることは真理を遠ざけることだ」
 グロタンディーク

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その8

「コピーは紙とインキで作れるが、オリジナルは生命の燃焼によってしか作れない」
 岡潔

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その9

「待てえ、ルパン。今度ばかりは逃がさんぞ!」
 銭形警部

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その10

「手袋の裏もまた手袋」
 コクトー

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下り坂の多い町

坂の途中に 捨てられた
かわいそうな猫のために
傘を貸して ぬれながら
女の子が走り去る

翌朝 風に吹かれた傘と
つめたい子猫の前に立ち
昨夜の自分 責めながら
傘をひろう女の子

わたしひとりだけが忘れてる訳じゃない
とおい昔になくした なにか小さなもの

時計の針よ あの傷を縫え
夜が 麻酔をかけてる内に
時計の針よ 明日へすすめ
わたしを連れてゆけ


坂の途中で 立ちどまる
どこか行けると思ってた
泣いて泣いて泣きながら
夢を捨てる女の子

なにかひとつだけが 大切な訳じゃない
ふるい傷にもなにかの 約束があるから

時計の針よ いま動き出せ
まわれ星空 まわれ 歯車
時計の針よ 明日へすすめ
かなしみ噛みくだけ


時計の針よ あの傷を縫え
夜が 麻酔をかけてる内に
時計の針よ 明日へすすめ
わたしを連れてゆけ

わたしを連れてゆけ
ラベル:歌詞
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未来のアルバム

パパとママとが出会う前
きみはどこで何してた
恋人同士だったふたり
きみはふたりの夢の中

そこから長い物語
春と夏と秋と冬
そして今日が来て 乾杯
ぼくは嬉しいよ 乾杯

つらいことや悲しいこと たくさんあったけれど
祝福の花びら いまきみを包んでる

フォトムービーが 終わった後の
白いスクリーンを みつめてる
ふたりのことを写真に撮るよ
とおい未来に アルバムを開いてね



愛はいつのまに訪れて
きみをここまで連れてきた
そしてこれからも ずっと
愛はふりそそぐ きっと

好きなことや嫌いなこと たくさんあると思う でも
今日までのみちのり いまきみを支えてる

キャンドルの灯に うかぶほほえみ
きみの味方なら ここにいる
今日と昨日の記憶を胸に
信じた明日へ ふたり歩き出すのさ


ラララ ラララ ラララ ラララ
ラララ ラララ ラララ ラララ
ラベル:歌詞
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like a bird in the cage

鳥かごに鳥を閉じ込めて
ビルの屋上(うえ)から 投げ捨てる
小鳥はかごを抜けて 大空を飛ぶ 夢を見る


こころに深い傷きざまれて
だれの事さえ憎めなかった
やさしい人が息を吸い込み
最後の最後 呪いをかける

いばらの森で眠りつづけた
身動き一つできないままに
涙でにじむ 約束の 場所
風のうなりが僕の名を呼ぶ

愛はにくしみ 夢は絶望
絶望すれば許されるなら
鳥を殺した 僕の罪さえ
絶望すれば許されるなら

like a bird in the cage 夢のなかで飛べ
like a bird in the cage 失われてる空を
凍る羽根の白 空を自由にはばたけ


武器を捨てれば殺されないと
だれかが言った 僕は笑った
武器を捨てれば殺されないか
武器を捨てれば殺されないか

傷はかなしみ 棘は欲望
小鳥が僕を許さなくても
死んだ小鳥に愛の誓いを
小鳥が僕を許さなくても

like a bird in the cage 夢のなかで飛べ
like a bird in the cage 失われてる空を
凍る空の青 夢の向こうへはばたけ


like a bird in the cage 歌え 愛の歌
like a bird in the cage 星空の 彼方
like a bird 遠くへこの声がとどくまで


like a bird in the cage 歌え 愛の歌
like a bird in the cage 星空の 彼方
like a bird 遠くへこの声がとどくまで
ラベル:歌詞
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僕が出逢わない人たちのために

ねじを巻きすぎて壊れた オルゴールの向こうで
テレビが お腹をすかせた子供たちを映し出している
僕にはそんなこと何も関係はない としても
保育園で働く君に言ったら きっとひどく叱られると思う

付き合い始めてすぐのころ
ふたりで馬鹿なけんかして
仲直りのしるしに君が くれたオルゴール
曲は "It's a small world"

あのとき君を怒らせたのは
たちの悪い冗談
ある日悪魔が現れて
僕たちに取り引きを持ちかける

「恋人を殺せば 世界が救われる」
としたら
僕らは何ができるんだろう
ふたり 出逢わない人たちのために


何があったのかは 訊いたりしなかったけれども
あんなにやり切れない目を していたのは今日が初めてで
いつもよりも遅く 僕の部屋へたどり着いた君は
まるで交通事故で 僕の兄が逝ったときの母のように見えた

黙っている君のとなりで
僕は煙草に火をつけて
ねじを巻いて蓋を開けたね
それで壊れて聴けない "It's a small world"

あのとき慌てふためく僕に
やっと君が笑って
ふたりのために安物の
指輪を買うことに決めたんだ

恋人の見ている
世界にいま寄り添うことで
僕にも何かできるだろうか
僕が出逢わない人たちのために
ラベル:歌詞
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たべるくん

もしもママが こんだてにまよっていたら
きをつけるんだ
そろそろきみも いちにんまえになって
たべごろみたい

もしもパパが おつまみをさがしていたら
はやくかくれろ
おいしいきみを ひとりじめにするきだよ
ママにないしょで

さあ のんびりおやつを たべてるばあいじゃないぞ
そう うんちになりたくなけりゃ なにかしなきゃ

なかまはだれもいないぞ
ともだちもおなかがへる
さいごのしゅだんはひとつさ
きみからさきにたべよう



もしもママを さいしょにたべちゃったら
パパがこわい
パパにはママの りょうりがひつようさ
きみのかわりに

もしもパパを さいしょにたべるのなら
しんちょうに
ぐっすりねむる パパをベッドごと
ひとくちでいこう

さあ たっぷりおなかを すかせてじゅんびをしとこう
そう うんちになるのは ぜったいきみじゃないさ

なかまはだれもいないぞ
ともだちもおなかがへる
さいごのみかたはじぶんさ
ららら いただきます


ららら いただきます
ラベル:歌詞
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やけくそ

大便の燃焼実験をすること。
ラベル:Jokerの辞典
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本棚

書物の冬眠カプセル。
ラベル:Jokerの辞典
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不思議

考える糸口が有りそうで見つからないこと。
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不可能

我輩はナポレオンの辞書ではない。
ラベル:Jokerの辞典
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たまねぎ

たまねぎの球根のこと。すなわち、たまねぎの球根の球根のこと。ということは、たまねぎの球根の球根の球根のこと――。かさねぎの仲間。
ラベル:Jokerの辞典
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神様との糸電話。
ラベル:Jokerの辞典
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スパイではない証拠

スパイの必需品。
ラベル:Jokerの辞典
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砂の魔女

サンドウィッチのこと。
ラベル:Jokerの辞典
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自分を映さない鏡

うしろの正面を見るのに便利。
ラベル:Jokerの辞典
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自転

西の地平線の、東の地平線への憧れがひき起こす運動。
ラベル:Jokerの辞典
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サンタクロース

おばけの反対。
井戸へ出ないで、煙突に入るのが特徴。
ラベル:Jokerの辞典
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こま

ともだちのいないはぐるま。
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金属のメタル

音楽のメタルではないことの強調。
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懐中電灯

あれがカシオペア。これをこっちに5倍した、あれが北極星。
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永遠

造花の花言葉。
ラベル:Jokerの辞典
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夫は都合が悪くなると、妻に「愛してるよ」と言う。
妻は片目をつむり、これに微笑を返す。
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言語の起原

言語をいきなり作ろうとすると、いろいろと変な話になる。
ことばがないときにも生活はあったはずだ。
たとえば狼に育てられた少女みたいに。
その人がたとえば類人猿に育てられた猿人であってもいい。

集団で狩をするときに「ホイ」なりなんなり掛け声をかける。
これで獲物に襲い掛かるタイミングを合わせていたと仮定する。
人間以外の動物にもこんなような言語なら(それを言語と呼ぶならば)ある。
ある原始人が狩以外のときに「ホイ」という声をあげる。
偶然や勘違いでもいいし、すでに意図のようなものがあったと考えてもいい。
とにかく、仲間の原始人には不意打ちである。
獲物が来たかと、または近所で狩をやっているのかと思い、
慌てるなり、騒ぎ出すなりするだろう。
「ホイ」と声をあげた原始人は、それを見て、
こいつらは俺の声で大騒ぎになったぞと思う。
もちろんことばがないので、そんなに明確に思えるものかどうかは知らない。
けれど、次は、彼はたぶんこの事態を意識して「ホイ」の声を出す。
また騒ぎ出す仲間たち。なんだか楽しくなってくる。
「ホイ」「ホイ」「ホイ」「ホホイのホイ」
気付くと彼は仲間にとり囲まれている。
獲物の姿がなかったので、仲間たちは不満なのだ。
彼はボコボコにされてしまう――。なあんだ、これは狼少年の話ではないか。

そこから先はいろんな物語があるだろうけど、
とりあえず、こんなのが言語のはじまりだったのではないかと思う。
posted by みずすまし at 00:27| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

てこの愚かな使い方

てこは簡単な構造をしている。探せばいろんな所に見つかる。
人の腕をてこと考えることも出来たりする。
支点、力点、作用点は、実は解釈次第である。それは次の問題を考えれば分かる。
手漕ぎボートのオールの図があり、水に触れている部分、ボートと接している部分、
オールを手でつかんでいる部分に、A、B、Cと記号が振ってある。
A、B、Cに、支点、力点、作用点を振り分けろという問題である。
つい、ボートと接している部分を支点と考えがちだが、それでは不正解。
水に沈んでいる部分が支点なのだ。ボートとオールの接点は作用点である。
さもないとオールはボートを進めるためでなく、水を掻くための道具になってしまう。

もちろん、水を掻き混ぜるためにボートに乗っている人も、存在しないとは言い切れない。
ここから、支点、力点、作用点を決定するには、
その道具を使用する目的が決定されていなければならないということが分かる。
シーソーでは視点を向こうとこっちどちらにとるかで、力点と作用点が交代する。
上にいる人と下にいる人、どちらが偉いという話ではない。

てこだって意外と難しいのかもしれない。忘れられない問題がある。
支点が作用点よりも力点の近くにあるようなてこの使い方は賢いか、それとも愚かか。
中学のとき期末テストで出た問題である。どう答えたかは言わない。
でも、僕は知っている。うちの先生はこれをてこの愚かな使い方だと思っていた。

てこの仲間に輪軸がある。先生の考えを敷衍すれば、車は一速で走るのがいちばん賢い。
うちわや、ほうき、箸、投石器などは愚か者の道具である。そういうことになる。
力よりもスピード(あるいは距離)を稼ぎたい場合には、
愚かな使い方もなかなか役に立つ。そう考えておけば特に問題はなさそうである。
posted by みずすまし at 00:26| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

言葉じゃ言えない気持

語り得ないこととは何だろう。語り得ぬものとは、それはあるのか、ないのか。
ことばで僕たちは語ろうとする。ことばは記号だから、組合せで何かを表す。
あらゆる組合せに乗らない何か、それはあるか。あると言った瞬間になくなる。
ラッセルのパラドクスとたぶん同じ状況である。

ラッセルのパラドクスとは、たとえばこんなの。

ある村の理髪師、ヒゲをそる基準を考えた。
自分で自分のヒゲをそらない村人のヒゲは全部そってやる、
自分で自分のヒゲをそる村人のヒゲはそらないと決めた。
この理髪師は自分のヒゲをそるか。

理髪師も村人である。そると仮定すると、自分でそるわけだから、そらないでいい。
そらないとすると、今度はそってやらなければならない。これは矛盾である。
実は理髪師が女性であった。これは反則である。

言葉じゃ言えない気持を「言葉じゃ言えない気持」と、消極的にだが、
指示できてしまう。つまり、言葉で言っている。ここが気になる。
ことばの外側にあるのにことばの内側に持ってこなければ
存在を示すことができないものについて、いま僕は語ろうとしているというわけ。
考えてみると、ラッセルのパラドクスとは少し状況が違うのかもしれない。

ことばの外側にことばが絶えず触手を伸ばしている。そんなイメージが好きだ。
でも、ことばはことばで言えることしか言えない。それで色々な工夫をする。

たとえばものとものとの関係を考えてみる。新しい約束をしてみる。
posted by みずすまし at 00:22| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

袖振り合うも多生の……

縁なき衆生は度し難しと言う。僕はテレパシーを信じない。
僕が生協の食堂で、吉村作治のことを考えていたところへ、
突然「この間吉村作治がさあ……」と喋りだす人が現れたが、
あれは偶然である。

偶然だから、なぜそんなことが起きたのかは考えない。
考えても分からない。原因でも、結果でもない。
強いて言えば、その時点で縁が生まれたのだ。
たとえば僕が駄洒落のようなものを思いつくのは、
似た言葉同士の縁と考えてもいい。

人間は意味のないところに、意味を作る。
縁は人生の補助線かもしれない。

いつでも辞められるものが、いつまでも続いてしまうのはなぜか。
問題は「さっき辞められたはずなのに、辞めなかった」という認識にある。
そのさっきは「いつでも辞められるさ」と思い、辞めるのを延期したのだ。
ということは、その、さっきと条件が同じであれば辞めることはできない。

恐ろしいのは、本人が辞めたいかどうかがこれに関係しないところである。
さっきも、本人としては辞めたかったのかもしれない……。
そういうことなら「さっき (の自分)」と現在とを補助線で結ぶのが間違いだ。
間違った補助線は問題を難しくする。

人間はこんなふうに悪い意味も作ったりする。
posted by みずすまし at 00:19| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

畳の上の水泳練習

体で覚えることの苦手な人を、古来より「頭でっかち」と言う。
その頭でっかちの欠点を理屈で考えてみよう。ちなみに僕は頭でっかちだ。

まずスポーツを考える。
ゴルフのワンスイングに、言語化できる情報はおそらく無限にある。
スイングしながらそれらのすべてを意識するのは不可能だ。
それを敢えて意識しようとすると、意識と、
いま体が直面しなければならない物理的現実との間にズレができて、体が泳ぐ。

だから運動は言葉では説明しにくいのだろう。
言葉で説明するには意識しなければならない。
意識すると運動が変化する。まるで量子力学の不確定性原理である。

運動はスポーツに限らない。おそらく表現には、建築の側面と運動の側面がある。
頭でっかちは建築には明るいかもしれないが、
下手をすると当り前のことしか言わない。
その逆に、何を言っているのか下手をすると分らないが、
運動には明るいという人もいるはずである。
コモンセンスとナンセンス。その境界がセンスに違いないと僕はにらんでいる。

運動を理解するのに、たぶん神秘は必要ない。
運動のイメージを言葉にしようとすれば神秘的になる、という必然があるだけである。
それもヒントにはなるかもしれないけれど、やはり運動は体で覚えるのが正しいと思う。
posted by みずすまし at 00:18| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

生物の世界

答えはひとつではない。答えはひとつしかない。どちらが正しいのだろう。

何かを表現する。
自分と他の人とが全く同じだと考えてみる。
自分と他の人が全く違うのだと考えてみる。
どちらにしてもその表現の自分に対する意味は残る。

表現をすると自分がズレる。
自分と他の人とが全く同じだとすれば、発表でそれを伝えることができる。
自分と他の人が全く違うのだとすれば、
他の人の反応を次の表現に影響させることができる。
冒険だ。でも言葉は聞えなくても声なら聞えそうだ。意味は分らなくても。

他の人と違うところ。他の人と同じところ。
反対のものが自分の両輪になる気がする。

他の人の表現を受取るときいろんなことを感じる。
思ったり考えたりもする。
僕がつまずいている石の向こう側だとか、手前だなとか、
たとえばそんなことを思ったりして。
後で買いかぶったとか見くびったとか思って恥かしくなったりして。

いろんな種類の生物がいる。生物の形は豊かだ。
あれが全部何かの意味で世界に適応しているかと思うと、勇気がわいてくる。
posted by みずすまし at 00:17| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

ハッピーバースデイのその前に

誕生日をきくのは難しい。なぜ難しいのか。
たぶんきく動機が問題なのだ。
下手をすれば祝う約束をするのと同じになる。

約束は義務ではないかもしれないけれど、なんだか変だ。
約束をした時点で、半分くらい
お祝いが済んでしまうような気がする。
誕生日の当日を忘れて恨まれたりしたら全く割に合わない。

しかしながら、やはりきいておかない限りは祝えないわけで……。
ジレンマとはこれのことであろう。

こんなときたとえば、僕は全然勉強したことがないけれど、
星占いという手はどうだろうか。

「誕生日で占いたい」が建前で「誕生日をききたい」が本音。
祝う義理が発生しない。
ちゃんと誕生日にハッピーバースデイを言えるというわけ。

考えてみると、これは占いの応用ではなく、基本かもしれない。
そう、たとえば――実はデタラメを言うのだとしても、
相手の手に触れたいとき、手相を見るという形式を借りたら、
……男らしくありません。

あなたの誕生日はいつですか?
posted by みずすまし at 00:17| Comment(0) | TrackBack(0) | エッセイ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

種のない手品の作り方

 1。手品の種を用意する。
 2。よく耕した畑に撒く。
 3。水をやる。
 4。芽が出る。
 5。薬品で処理して、大切に育てる。
 6。花が咲く。
 7。手品の実が生る。
 8。種なし手品の種を採取する。
 9。適当な時期に撒く。
10。手品が収穫できるまで育てる。

二度の受粉にはふつうの手品の花粉を使う。
ぶどうに類する手品の場合は薬品が違うし、
7で完成してるはずなので気をつけること。

posted by みずすまし at 00:12| Comment(0) | TrackBack(0) | 詩と断片 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

お風呂

お湯は
夜になると
排水口からやってきて
お風呂場を
一杯にする

天井の空気を吸って潜り
窓を開けると
そこには
子供の頃作った
雪だるまがあって――

あっ と思った途端に
ぼくは湯冷めしていた
なぜか頭に洗面器をかぶって
窓の外から
誰もいない
お風呂場を覗いていた
posted by みずすまし at 00:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 詩と断片 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

あのころは石ころ

恋しくて 小石をたべすぎたせいだと思う
気づいたら ぼくは石ころで
あの子に蹴とばされて
どこかのどぶに突っこんだあとだった

ああ もったいないけど しかたがないから
さよなら(と言ったつもりのぼくの口から)
代わりに ざらざら小石がこぼれて――
魔法がとけて ほんとうにさよなら

おかしくっておかしくって お腹がいっぱいになるように
こいしくってこいしくって 石ころになってた あのころ

posted by みずすまし at 00:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 詩と断片 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

さらあらい

さかなはあらわない
あさからさらあらい
なかなかかわかない
あたまがあがらない

なかまはだまさない
さわやかさらあらい
からだがまがらない
たなからかなだらい

さらだはなまやさい
さらがかさならない
ばななはたたかない

わがなはさらあらい
かたなはかざさない
ささやかなたたかい


posted by みずすまし at 00:09| Comment(0) | TrackBack(0) | 詩と断片 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

空想十九秒



法廷求刑重労働
強盗逃亡鍾乳洞
包丁押収銃刀法
迷宮望郷大騒動



早朝清掃弓道場
窮鳥救命表彰状
焼酎醸造工場長
明朝盲腸小往生
posted by みずすまし at 00:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 詩と断片 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

大きくなったら

働き者になる 足が棒になる 筋肉痛になる
横になる 大の字になる
邪魔になる 行方不明になる ずぶぬれになる
腹の足しになる 金持になる へべれけになる
かなりの量になる 手遅れになる
夢中になる 病みつきになる 鬼にも蛇にもなる
おしゃかになる いい薬になる トラウマになる

頼りになる 友達になる
早く人間になる 自由になる 幸せになる
胸がいっぱいになる
年頃になる 人を好きになる 恋人になる 綺麗になる
またひとつ大人になる
なるようになる 上から読んでも下から読んでも同じになる
目が点になる

ご覧になる お分かりになる いい気持になる
顔が真っ赤になる ぼくは小さくなる

posted by みずすまし at 00:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 詩と断片 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

背中

おたがいが 背中を見ている

この世には背中しかないんだ! 
と僕が言うと
そうよ背中しかないのよ! 
と応える声がした

振り向くと 
そこは一面 僕の背中
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みっつの願い

ひとつめの願いごとで 私を賢くしてください
残りのふたつは それから考えたいのです

みっつめの願いごとは 私をもとに戻してください
ふたつめの願いごとを忘れたいのです
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ミゾ

ミゾは
へだてるためにあるのではありません

そこにみずをながすために
あるのです
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