2013年01月05日

バレンタインデー

誰かのチョコレートを蹴飛ばしてしまった。たくさんのチョコレートを貰い上機嫌で、歌を歌いながら歩いていたときのこと。からんできたのはそのチョコの持ち主ではなく、その友人だと名乗る男だ。やい、どうしてくれんだ! と責めたてる。僕は蹴飛ばしてしまったチョコレートを拾うと、黙って食べた。砂だらけだ。代わりに僕のをひとつ差し出した。彼はそれを手で払いのけると、ぐちゃぐちゃに踏み潰す。そして、静かに命令するのだ。食べろ、と。

儀式は僕のチョコレートがすっかりなくなってしまうまで続いた。
ラベル:短い話
posted by みずすまし at 21:12| Comment(0) | TrackBack(0) | ショートショート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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