ひと悶着あるか不安だったが、僕が制したら「お前がやってみろ」と来た。店長に見守られる中、タマゴを割る…ところがタマゴが2重3重卵なのだ。いちばん内側のタマゴからはくちばしでつつく音までする。ハゲタカのタマゴらしい。店長が「俺もやってみたけどそうだった」と僕に耳打ちをする。
僕がヒビの入ったタマゴをパンツの中に隠すと、温められてか鳥は孵化した。でもズボンのファスナーに向かって、雛は突付き続けている。
ズボンから出してやる。
店長の話では、孵ったばかりの雛も成鳥と変わらない骨格で、すぐにでも空を飛ぶことができるのだそうだ。羽毛も黒々と生えてきている。
困ったものだと店長は言った。
ラベル:短い話