「兄さん! いったい今なん時だと思ってるんですか」
次郎は土産にたまごをもらう。「そのなかにはおまえの未来が入っている。けっして割ったりせぬように」乙姫が注意書を読み上げる。
地上に戻ったが兄はおらず、おじいさんが泣いていた。太郎を見なかったかときくと、わしがその太郎じゃあと泣く。おどろいて次郎はたまごを落としてしまう。ぼわんと立ち上る煙。なかからもうひとりおじいさんが出てくる。あなたはだれですか。
「わしか、わしは次郎だ。
うちへ帰ってごらん、兄さんが待ってるよ」
そして煙のように、ふたりのおじいさんは消えてしまう。
ラベル:短い話