2013年01月05日

アリマキ

 ぼくが窓からつきとばした。アリマキはいつものロクロ首のまねで、最後までぼくたちをからかった。降りてそこまで行ってみると、彼の体はすっかり袋状に変化していた。首のあったところが袋の口で、その穴の中には黒い飴玉がいっぱい。恋人のアザミと、ぼくはその飴を森の中に撒いた。蜂が集まってくる。
――よかった、今年の冬はハチミツが不足していたんだ。
ぼくたちの撒いた飴のまわりに、蜂が糸をだして巣をつくりはじめる。そこらじゅうに綿菓子みたいなコロニーができる。

 食事中ぼくのくちびるに虫がとまるようになった。「ほっぺに虫がついてるよ」とアザミは今朝その虫を食べてくれた。アザミについた虫はぼくが食べた。
ラベル:短い話
posted by みずすまし at 23:49| Comment(0) | TrackBack(0) | ショートショート | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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