昨日昼寝していたら、知り合いの婆ちゃんがうんこを投げて宮殿を作る夢を見た。俺の婆ちゃんはうんこの達人なんだと紹介されて……。
これでうんこの夢は三回目だ。一回目はずいぶん昔に見た。うんこ合戦の夢。いかに芸術的なうんこが出来るかを競い合う。Aは鼻の形をしたうんこをする、鼻糞である。Bは耳の形をしたうんこをする、耳糞だ。耳の方が複雑な形をしているためBの勝ちとなった。これ以降の戦いについては、汚な過ぎるため省略する。
二回目はスーパーうんこマンの夢。オナラで空をとぶヒーローならキン肉マンがいるのだが、我らがスーパーうんこマンはうんこで空を飛ぶ。もりもりもりと、いったいその小さな体のどこに、それだけのうんこが隠されているのか。尻から伸びるうんこの柱に支えられ、彼は空へと舞い上がる。方向転換も思いのままだ。飛び去った空には、複雑に折れ曲がったうんこが残っている。さようならうんこマン。僕らは君の勇姿を忘れない。
さて、達人の婆ちゃんだが、洞窟のようなところに住んでいた。半透明のうんこを投げては積み重ね、それで巧みに様々な動物の彫刻を作ってくれた。ぶつかると壁が爆発するうんこもあった。崩れた壁の中から、婆ちゃんが出てくる。振り返ると婆ちゃんは消えている。瞬間移動のイリュージョンだ。僕たちは感動した。いよいよ宮殿の建設。無造作に投げた(ように見える)うんこが積み重なる。さすがに一日では無理だ。僕は泊まり込みで見守った。翌日、そして翌々日。徐々に形を取り始める白亜の宮殿。原料たるうんこの面影は微塵もない。週末の追い込みは凄まじく、寝て起きると橋ができている、塔が建っている。魔法だ。日曜の朝、窓から外を見ると宮殿があった。
すごい。僕は友人と顔を見合わせ、感激に胸震わせながら、足を踏み入れた。しかし、完璧に見えたこの宮殿はまだ完成していなかったのだ。あと1ブロックの不足のために、僕の足元の橋が崩れた。それを引き金に、宮殿は崩壊した。
ベッドに横たわる婆ちゃん。怪我は大したことはないが、もう宮殿は作れないのだという。わたしも年だからねと笑う。でも最後にいい仕事ができたよ。ありがとう。友人にもお礼を言われたが、僕は謝りたかった。どうしていいか分からなかった。
ラベル:短い話
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